超音波センサーの絶対感度校正(CALIB)



 超音波を送受信するセンサーには、圧電セラミックを素子とした変換子が広く用いられる。その感度の絶対校正は、超音波発生源の評価の出発点になるだけでなく、異なった装置で得られたデータの相互比較にも不可欠である。しかし空気や水を音響媒質とする分野では絶対感度校正法が確立されているものの、AE検出用の変換子を始めとした固体媒質を対象とする超音波センサーについては、新たに校正法を開発しなければならなかった。

 アメリカ商務省標準局(現NIST)のBreckenridge氏は、ガラス毛細管の破壊を音源とし、容量型変換子で弾性波の変位を測定して比較の基準とする、表面波パルス法を提案した。一方当研究室では、固体媒質における縦波及びRayleigh表面波についての相反定数を導出して、超音波センサーの相互校正法を提案した。前者はASTM、後者はJSNDIでそれぞれ規格化された。何種類かの同じセンサーについてNISTと当研究室で表面波校正の共同実験を行い、両者による校正の結果がよく一致することを確認した。固体媒質では表面を完全吸収境界とするのが難しいので、媒質の寸法をできるだけ大きくして、反射波などの不要波を伝般時間差で判別出来るようにした。

相互校正用の鍛造鋼製媒質(直径1.1m、質量6トン)



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 相互校正法は機械的な音源を用いないで、電気測定のみによって絶対感度が求められる特徴がある。当研究室で提案した超音波センサーの相互校正法は当初、日本のセンサーメーカーや音響測定器で世界的に有名なデンマークのメーカーが導入したが、最近ではフランス、イギリスあるいはアメリカでも採用する動きにある。またISO(国際標準化機構)とCEN(欧州標準化委員会)の共通のTechnical Reportとして制定することが提案されている。


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