スペースシャトルでの超音波浮揚 (LEVI)



スペースシャトルに搭載された超音波浮揚装置超音波浮揚装置の構成  NASAのスペースシャトルによって、微小重力あるいは超高真空という環境を利用した、地上では実行困難な実験が行なわれるようになった。例えばシャトル内で浮遊する試料を、一定の位置に非接触で浮揚しながら加熱、融解できれば、るつぼ材料の溶出に伴う試料純度の低下等の問題に煩わされない新材料の開発が可能になる。電磁力による非接触浮揚は、対象が導電体に限られるという難点がある。複合材料やセラミックスなども扱えるように、不活性ガスを満たした炉芯管内に超音波の定在波場を形成し、その放射圧によって試料位置を制御するのが超音波浮揚である。一般に音波の放射圧は、音波の音圧に比べると極めて小さい。例えば大気中で、音圧が100Pa(134dBre20μPa)の音波が完全反射体に垂直に入射したときに生ずる放射圧は、0.1Pa(約1mgf/cm2)の程度である。スペースシャトルでは、搭乗員が内部で移動することなどが原因になって全体の重心の位置が変動し、試料にも加速度が加わる。その大きさは10-3以下のオーダとされており、地上で重力に打ち勝つ浮揚力を得るのに比べると格段に小さな音圧で制御できる。

超音波浮揚装置内の音場  わが国でもスペースシャトルの荷物室に搭載される宇宙実験室(スペースラブ)を利用した第1次材料実験(FMPT)が計画され、1992年の秋に‘ふわっと92’として実施されたのは周知の通りである。その一つのテーマとして選ばれた非可視域光学材料の製造実験に超音波浮揚装置を供することになり、その開発を目指して、宇宙開発事業団(現在 JAXA)及び石川島播磨重工業(現在 IHI)とともに、設計の指針を得るための基礎研究を行なった。幸いにも‘ふわっと92’では超音波浮揚装置がほぼ期待通りの機能を果たし、低損失の光ファイバーへの応用を目的とした無垢のガラスが、微小重力下で焼結材料から初めて合成された。超音波浮揚は将来、宇宙開発を支える基盤技術として成長することが期待される。当研究室では現在、超音波浮揚装置の性能と信頼性の向上を目指して、主として最先端のコンピュータシミュレーションによる研究を進めている。

‘ふわっと92’における超音波浮揚           球形試料の移動に伴う音場変動 
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