羽田野研究室テーマの例

― 卒業論文・大学院 ―

(現在卒論生等は受け入れていません。)


 

音響・超音波のコンピュータ・シミュレーションと計測情報処理


 

 音響工学・超音波工学はカラオケやオーディオに限られるわけではなく、産業や医療、環境保全の様々な分野で重要な役割を担っている。羽田野研究室では、デジタル信号処理とコンピュータ・シミュレーションの技術を駆使して、音響と超音波を対象にした先端的な研究に取り組んでいる。研究成果の幾つかは企業により製品化され、また基本設計を担当した超音波浮揚装置は実際にスペースシャトルに搭載されて、わが国初の宇宙材料実験に貢献している。当研究室オリジナルの超音波検出器の絶対感度校正方法は国際標準として、ISO (International Organization for Standardization)規格に採用される方向にある。研究環境の面では、UNIXをベースとした先進的なハード及びソフトが整備されている。

羽田野研の研究概要

 

見えない音を視る

 コンピュータ・シミュレーションは、宇宙・自動車・建築・電子機器を始めとしたあらゆる産業分野で、重要かつ不可欠なものになっている。空気中を伝わる音波や固体中の弾性波は、直接目で見ることはできない。そこで差分法・有限要素法・FDTD法などのシミュレーション手法を駆使して、コンピュータの仮想空間に音波や超音波の挙動を再現し、3Dグラフィックスによる動画像で表示する。

 

物の内部を探る

 光やX線の代わりに音波によって、物体の内部を探ろうとするものである。物体の内部に音波のビームを発信し、そのエコー信号を検出・画像処理して可視化する。地下の埋蔵物や資源の探査、建造物やプラントの健全性評価、電子部品やICの内部観察を始めとしてその適用分野は広い。

 

超高感度センシング

 物が壊れるときには、それに先行して微弱な音波(AE)や電磁波(EME)が発生することが知られている。これらの信号を捉えることができれば、高度な安全性を要求される航空機や巨大構造物などの安全監視、さらには甚大な被害をもたらす地震の予知にもつながることが期待される。微弱なAEやEMEを、様々な環境雑音の中から確実に検出して評価できるような、新しい信号処理方法を考案・検討している。

 

音の望遠鏡・音のスポットライト

  一般の光学望遠鏡は、反射鏡で集めた光を接眼部に導いて遠くの物体を観察する。「音の望遠鏡」は、音波用の反射鏡で集束した音波を、接眼部の代りにマイクロフォンで収音し、ヘッドフォンやスピーカで聴いたり、デジタル処理により解析する。音の望遠鏡は当初、種々の機械の動作音によってその異常を検出する目的で考案された。音の望遠鏡は指向性が鋭く感度が高いので、騒音源の探査や音によるモニタリング、さらにバードウオッチングなどにも使える。音の望遠鏡は高感度の音の受信機と言えるが、これとは逆に遠くの目標に集中して音を送信する「音のスポットライト」(超指向性スピーカ)も構成できる。



フジTV テクノ・マエストロ 出演 「超音波を操る男」
羽田野研のトップページへ戻る

 



独立行政法人 物質・材料研究機構との連携大学院

― 大学院 ―

物質・材料研究機構 ( NIMS )

 

材料の変形・材質変化・微視破壊計測と寿命評価

物質・材料研究機構 非破壊評価研究室

(連携大学院 志波教授 ・副指導教員 羽田野教授)


 (独)物質・材料研究機構(NIMS)は、日本における材料研究所の中心として、超電導材料、太陽電池や燃料電池等のエネルギー材料、バイオマテリアル、ジェットエンジンやロケットなどの先端構造材料、量子エレクトロニクスデバイスやセンサーの開発、コンピュータ・シミュレーションなど、材料科学の基礎から応用まで幅広く物質及び材料の研究を行っています。

その中で非破壊評価研究室は、材料に関する計測・評価技術部門として、他のグループと連携して量子デバイスの開発からロケットの信頼性評価まで幅広い研究を行うとともに、対外的には宇宙航空開発機構(JAXA)や産業技術総合研究所(AIST)と連携して非破壊信頼性評価の共同研究を、液体ロケットや固体ロケットの実機を対象に行っています。

 

 

材料の寿命測定

 材料の主な劣化・損傷機構には、腐食、疲労、高温クリープがあり、この損傷状態を弾性・非弾性特性、電磁気特性等の応答として測定し、寿命を推定することは、材料の品質及び信頼性を保証する上でとても重要です。これらのセンサーを開発し、波形解析、力学特性評価により材料の寿命測定を行います。

 

コンピュータ・シミュレーションによる材料、波動解析

 NIMSでは、独自開発した2段階差分法コンピュータ・シミュレーションを用いて、電磁波や空気中や固体中の音波・弾性波の伝搬挙動の可視化を行うことで、材料組織の劣化損傷に伴う弾性特性や電磁気特性の変化を評価しています。

 

 量子化デバイスよる高感度センサー開発

 量子効果を用いた半導体やデバイスは、従来のセンサーに比べて2〜3桁高感度であることが知られています。その中で量子干渉計(SQUID)は、高感度磁気センサーとして知られております。NIMSではデバイス開発を行っており、この技術をもとに、材料計測分野への応用について研究を行っています。


 

 

テラヘルツ波による光物性・損傷評価

物質・材料研究機構 電磁波応用評価研究室

(連携大学院 渡邊 准教授・副指導教員 羽田野教授)


  光波と電波の中間にあたるテラヘルツ波 (0.1 ~ 100 THz)は、これまで利用が困難でしたが、レーザ技術や光デバイスの進歩により、様々な工学的応用が可能となってきました。米国でスペースシャトル耐熱パネルの密着性を調べるために利用された例などは良く知られています。特にフェムト秒レーザ(フェムトは10-15)を用いた時間領域計測技術(THz-TDS)を用いることにより、高分子複合材料やセラミックス、半導体、超伝導材料等の誘電率や伝導率を非接触で評価することができます。これらの光物性は、材料組織や特性、温度や圧力といった周囲の環境と大きく関係していますので、この物性評価から材料の様々な情報をリアルタイムに得ることができます。

 

本年度は、微小アパーチャを用いた近接場光による高分解テラヘルツ分光システムの開発を進めていきます。

 

 

 

1.テラヘルツ波の帯域

 

 

2テラヘルツ時間領域分光システム   図3. 薬剤(顆粒)内のテラヘルツ吸光度分布。異なる成分の分布状況を示している。

 


羽田野研のトップページへ戻る